成田空港はケチなLCC民の味方

移住した札幌から、実家のある横浜へと帰省した。

遠かった。何が遠いって、空港が遠い。札幌から新千歳空港までも地味に遠いけど、それはまあ良し。スマホでブログを書いたり本でも読んでればすぐに着く。

しかし成田空港。これが遠い。ひたすら遠い。北海道札幌市から神奈川県横浜市への移動工程のうち、成田から横浜までの移動が最もしんどい。空港に着陸したら「ふー、地元に着いたぞ」みたいな感慨に耽りたいんだ僕は。ものすごく遠い北海道からはるばる帰ってきたぞって。でも現実は「ここからが大変なんだ……」という悲壮感に耽ることになる。

「羽田空港があるじゃないか」という言葉が聞こえてきたのでお答えすると、羽田空港には国内線のLCCが発着しない。羽田空港という名のVIP空港には発着しないんだ。飛行機は国内線のLCCしかほぼ使わないケチな僕としては、もはや羽田空港は存在しないに等しい。

繁忙期の場合、稀にLCCよりもAIRDOやANAが安くなることもある(AIRDO、ANAが安いというよりも、LCCが高くなる)。羽田を使うのはそんなレアケースの場合のみだ。ちなみにJALには一度も乗ったことがない。

国内から東京方面へ飛行機移動する際、LCCだと羽田ではなく成田になってしまうのが不便すぎる。首都東京へ行く交通インフラとして、これでいいのかと思う。

……いや、わかってる。羽田に国内線LCCが着陸しない理由ぐらい、僕だってわかっている。金だろう。羽田は利用料が高いんだろう。国内線LCCが立ち入れる空間ではないのだろう。羽田はVIPルームみたいなものだ。経済は冷たい。僕みたいなケチな人間は、黙って成田を使うしかない。

「やりたくない仕事をしてまで金を稼ぐぐらいならケチになる」が信条の僕だけど、やっぱり成田の遠さには辟易とする面がある。だから帰省する際はいつも憂鬱になる。成田から実家までの道のりを想像してげんなりする。

帰省の際に毎回「もしかしたら羽田のほうが安いかも」という一縷の望みを掛けて各社の運賃を比較するのだけど、その望みはほぼ毎回砕かれる。電車賃の差を考慮に入れても、羽田でAIRDOを使う場合と成田でピーチあるいはジェットスターを使う場合では、10,000円前後の差がある。

そもそも、飛行機の運賃って会社や時期や時間によって差がありすぎるのが釈然としない。受けられるサービスは同じなのに。ごく稀にANAに乗ると思う。「ピーチと何も変わらないじゃん。この価格差は一体何なの?」と。

 

——愚痴愚痴と書いてきたのだけど、見方を変えれば、成田空港があるからこそLCCで帰省できるんだよな……。そのことに今気付いた。東京都心から遠いが故に利用料が安いからこそ、国内線LCCが発着してくれる。つまり成田空港は、僕みたいなケチな労働嫌いの人間の味方なんだ。

成田空港への恨みをモチベーションに書き始めたのだけど、なんだか感謝の念が込み上げてきた。本記事のタイトルを「成田空港が遠すぎる。不便すぎる」から「成田空港はケチなLCC民の味方」に変えた。ありがとう、成田空港。今後とも利用させていただきます。