人を評価する物差しが「いくら稼いでるのか」「仕事は何をしているのか」に偏りすぎている

現代社会を生きていて、常々感じることがある。

今の世の中、人を評価する物差しが「いくら稼いでるのか」「仕事は何をしているのか」に偏りすぎているよなって。

「あの人は会社を経営してるから偉い人だ」「あの人は年収1億円だから優れた人だ」みたいな感じで。

あるいは、そこまで特殊な例ではなくても、「あの人はちゃんと会社勤めしてるから偉い」「あの人は無職だからダメ」みたいな。

あるいは、そうやって他人を評価する場合のみではなく、自分に対しても「私は無職だから人としてクズなんだ」「私は年収が低いからダメな人間なんだ」みたいな。

そうやって他人や自分を評価する際に使う物差しが、収入や仕事内容に偏り過ぎている。

 

もちろん、会社を経営している人はいわゆる偉い人だ。その会社の中では、だけど。年収1億円の人は優れた人だ。「資本主義社会で金を稼ぐ能力」において。

別に普遍的に人として偉いわけではないし、優れているわけでもない。特定のフィールド内で偉かったり、特定の能力で優れていたり、というだけに過ぎない。

にもかかわらず今の社会だと、社長や年収1億の人に対して「うわ、すごい人だ。畏まらないと」みたいな空気になったりする。人としてすごいから尊敬すべき、みたいな空気になる。

 

個人的に、その空気が嫌いだ。自分が資本主義社会で金を稼ぐことに向いてなくてほぼ無職みたいな人間であることによる僻みでは絶対に多分ない。3%ぐらいは僻みかもしれないけど、一旦ここでは僻みではないってことにして話を進める。

自分がほぼ無職で満足に稼げない事実とは関係なく、物差しが収入や仕事に偏りすぎていることを現代社会の問題だと僕は思っている。

 

収入や仕事以外にも、人間の価値なんていくらでもある。挙げ始めたらそれこそキリがないけれど、思い付いたものをいくつか書いていく。

  • いつも笑顔で機嫌が良くて、人を和ませる
  • 他者の気持ちを察して、寄り添える優しさを持っている
  • 金にはならないけど特定の分野にやたら詳しくて、一部の界隈でその知識が重宝されている
  • 料理が上手い
  • 没頭できる趣味があり、それが直接的に他者への貢献に繋がってるわけではないけど、とりあえず毎日楽しく生きてる
  • 没頭できる趣味とか別にないけど、それでも毎日楽しく生きている

など。マジで今思い付いたものを書いてみただけだから、ごくごく一例。

 

そもそも、極論かもしれないけど、僕は「人間なんて、毎日楽しそうに生きてたらそれでいいじゃないか」と思ってる。

人間なんて、織田信長やマザーテレサや野口英世やスティーブジョブズみたいな0.00001%の天才以外はみんな同じようなもんだ。人類の歴史や文明への影響力はない。比べたところでどんぐりの背比べ。

なのに皆、すぐに「誰が優れてるか。自分はダメじゃないか」と比べちゃって、しかもそのとき用いる物差しが収入と仕事ばかり。

比べちゃうのは人間の本能による面もあるから仕方ないとして、せめて他の物差しにもちゃんと目を向けましょうよって話だ。

仕事や収入は、色々な物差しの中で、資本主義的観点から見た物差しの一部に過ぎないのに、それに偏りすぎている。

 

たとえば、年収1000万円のサラリーマンと、無職がいたとする。その場合、脊髄反射で「年収1000万円サラリーマンはすごい。エリート。無職はダメ。ゴミ」という評価になるよね。そういう社会だよね今って。

でも本当に、サラリーマンがすごくて無職はダメなのか?

仮に、サラリーマンは毎日暗い顔してイライラしててその気分を周囲にまき散らしている一方で、無職は毎日笑顔で楽しそうにしててその気分をご近所さんや家族などに振りまいているとしたら?

それでもやっぱり、年収1000万円サラリーマンはすごくて無職はダメなのか?

僕は全然そうは思わない。そもそも別にどっちがすごくてどっちがダメとか、そういう比較自体どうでもいいのだけど、どちらが人として好きか、どちらと遊びたいかというと、僕はニコニコしてる無職のほうが相対的には人として好きだし遊びたい。

まあ、年収1000万円のニコニコしてるサラリーマンがいたとしたら、その人のほうとより遊びたいけど。ご飯をおごってくれるかもしれないので。

 

僕は別に「収入や仕事なんて無価値。どうでもいい」と言ってるのではない。たくさんお金を稼いだり、世のため人のためになる仕事をすることはすごいことだと思っている。

それは十分に認めている上で、「人の価値ってそれだけじゃないよね。他にも色々な面があるよね」と思っている。という話。

多くの人がもっと色々な物差しを持つことが、自分のためにも他人のためにもなるはず。

社会の息苦しさが緩和されて、自己肯定しやすくなり、他人にも寛大になれるはず。

そういう社会で僕は生きたい。あなたもそうじゃないですか?

 

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