自分の経験を踏まえての「移住の魅力」を書いていくことにした。
自分の経験
僕は今まで2回、移住を経験している。
1回目は2014年5月に東京から名古屋へ。2回目は2021年12月に埼玉から札幌へ。東京→名古屋→埼玉→札幌 の順番だ。
名古屋から埼玉へも移住と呼べるのかもしれないけど、埼玉といってもほぼ東京みたいな場所だったし、自分の意思ではなく仕事の都合による転居でもあったから、自分の中ではそこは移住という感じはしない。仕事の都合で東京圏に戻ってきたというだけ。
名古屋は1年3ヶ月しか住んでいない。札幌は今も住んでいるが現時点でまだ1年9か月目であり、永住する考えも持っていない。あと半年ほどは札幌に住み続けるつもりだけど、それ以降は未定だ。
という感じで、移住先で長期的に住むという経験はしていないのだけど、「移住」を「どこか遠くへ(一時的ではあっても)自分の意思で移り住むこと」と定義するなら、僕は名古屋と札幌の2回、移住を経験している。
その経験を踏まえて、上記定義における「移住の魅力」を書いていくことにした。
移住の魅力
住みたい場所に自分の意思で住めている幸福感
偶然そこに生まれたとか、他人や会社の都合で住んでいるとかではなく、自分の意思で「ここに住みたい」と決めた場所に実際に住んでいる事実それ自体が、日々の幸福感に対してプラスの影響を与えてくれる。そのことを日々実感している。
今は札幌に移住してから1年9か月目になるのだけど、未だに「俺は今、本当に札幌に住んでいる」みたいな感慨深い気持ちを感じている。
自分で札幌に移住すると決めて、そのための段取りなどをして、実際に移住して、そして実際に日々札幌に住んでいる。それだけで、もう楽しい。思い返すと名古屋も同様だった。
名古屋も札幌も、そこに移住した理由は本題ではないので詳細には触れないけど、簡単に言うと「人が多すぎて家賃も高い東京圏から脱出したい。でも都市の利便性は享受したい。名古屋も札幌も、都市機能がコンパクトにまとまってるのが便利そう」という理由。
この理由がまず第一にあり、その上で、名古屋も札幌も利便性以外の面でも街として興味があったので移住してみた。
こうして自分の意思で決めて、そして実際に名古屋や札幌に住めるわけだから、この感慨はやはり大きい。他の移住経験者と話したこともあり、僕のこの気持ちを話すと「それはわかる。あるある」という反応をもらえる。
移住によって得たいと思っていたものを得られる
当然だけど、住みたいと思っていた場所に住めるわけなので、感慨による幸福感だけではなく、移住の目的を達成できることによる実際の楽しさもある。
利便性であったり、田舎の静かな生活であったり。具体的な内容は移住の目的によって異なるけど、そういう何かしらは得られる。
そこで得たものが「本当に自分に合っているものであったか?」という点は住み始めてからの答え合わせが待たれるものの、とりあえず欲しいと思っていたものは得られる。それも移住の魅力。
これは当たり前すぎてわざわざ書く必要もないかなと思ったけど、一応書いた。
僕の場合は、名古屋も札幌も、必要十分な都市機能がコンパクトにまとまっている利便性と、東京と比べたらだいぶ安い家賃と、自然の近さを楽しんだ。
札幌の場合は、整って綺麗な街並みや、雪国の体験も現在進行形で楽しんでいる。
新しい生活をスタートさせやすい
生活において「どこに住んでいるか」は本当に重要な要素だと思っている。
大前研一氏は『時間とムダの科学』という著書にて、以下のように書いている。
人間が変わる方法は三つしかない。時間配分を変える、住む場所を変える、付き合う人を変える。この三つの方法でしか人間は変わらない
どんな文脈で何を根拠にした言葉なのかは覚えていないけど、感覚として、その通りだなとは思う。
時間の使い方、住む場所、付き合う人は、人間の生活を構成する3大要素みたいなものだ。生活の各面はたいていこの3大要素のいずれかに分類できる。
そんな3大要素のうちの1つ「住む場所」を大幅に変える移住をしたら、実際に生活が大幅に変わる。
さらに気持ち的にも「心機一転して、新たな生活を開始していこう」みたいな気分になれる。
生活環境が実際に変わり、心理面で心機一転もできるので、新生活をスタートさせやすい。
僕も、名古屋でも札幌でもそれまでとは大幅に生活を変えることができた。
【名古屋移住による生活変化】
移住前:
大企業の中でガチガチに時間や仕事内容を管理されながら全容を把握できない巨大事業のごく一部を歯車として処理していく東京でのサラリーマン生活(家賃8万円、電車通勤)。休日は疲弊して家で酒飲んでる。
↓
移住後:
ベンチャー企業へ転職して、サラリーマンではありつつ時間や仕事内容に多くの裁量を持ちながら伸び伸び仕事(家賃4万円、自転車通勤)。休日は車でお出かけ。
【札幌移住による生活変化】
移住前:
なんやかんやあって名古屋から東京圏(埼玉県)へ戻り、裁量は維持しながらサラリーマン生活(家賃6万円、最初は自転車通勤、その後電車通勤)。
↓
移住後:
フルタイムのサラリーマンという働き方自体を辞めて、札幌で家賃3.5万円ハウスに住み、自分なりに面白いと思えるYouTube動画やブログでの発信をして少額でも稼いだり、株で資産運用したり、たまに週3程度でバイト。札幌のあちこちを散歩して楽しむ。
いずれの生活変化も、移住というより働き方の変化のほうが直接的な要因ではある。ただ、働き方の変化を移住が後押ししてくれた感覚がある。
これについては理解しにくいかもしれない。「別に移住なんてしなくても働き方は変えられるでしょ?」みたいに思う人もいるだろうし、その通り。移住しなくても働き方を変えることは可能だ。
ただ、論点は「可能か不可能か」ではない。移住したら生活3大要素の1つが変わるので生活の多くの面に変化が起こり、心機一転な気持ちにもなるので、そこに便乗して働き方も変えやすい、という話。
「生き方を変えたい。そのためには働き方を変えたい。でも一歩が踏み出せない」という人は、移住という半強制的な生活変更手段を取るのも1つの方法だと思う。その変更に乗じることで「働き方もついでに変えちゃえ!それ!」みたいに思いきりやすくなる(思い切った結果については僕は一切の責任を取らない)。
新しい文化・自然環境に触れられる楽しさ
同じ日本国内であっても、それぞれの土地によって独自の文化や自然環境があるものだ。
■名古屋の場合
- 「~だもんで」を会話の中で頻繁に聞く
- 普通のチェーン店の定食屋で出てくる味噌汁の味が違う(味が濃いし、味噌の種類も多分違う)
- 味噌カツ、味噌おでん、味噌煮込みうどん、あんかけスパゲッティ、手羽先、ひつまぶし、名古屋コーチンのお店がたくさんある
- モーニングでトーストとゆで卵を格安で提供してくれるカフェが大量にある
- 大半の人が自分の車を持ってる(一家に1台ではなく、1人1台。岐阜から仕事で名古屋に来てる人が多い環境だったことも理由とは思う)
- 名古屋駅から車で西に向けて30分も走るとすっかり田舎で信号も少なく、快適なドライブが楽しめる
■札幌の場合
- 「したっけ」を本当に耳にした
- ジンギスカン、スープカレー、ザンギ、海鮮のお店がたくさんある
- 北海道開拓の歴史やアイヌに関する展示が図書館、駅、大学内に色々ある
- とにかく雪が大量に降る 大都市なのに豪雪地帯
- 深夜に除雪車が轟音を立てながら除雪(それをしないと道路が雪で埋もれて交通が麻痺する)
- 今まで経験したことのない寒さ(最低気温-10℃ ぐらい)
- ごく普通の賃貸でも二重窓になっているし、ストーブもついている。一方でエアコンはない
他にも掘り起こしていくと色々ありそう。
こんな感じの、東京周辺とは異なる文化や自然環境を普通の日常の中で体験できるのが新鮮で楽しい。
移住した場所の周辺まで含めて楽しめる
それまで住んでいたところから遠くへ移り住んだ場合、超当たり前のことだけど、住む場所の周辺も一変する。そういう周辺地域含めて楽しめたりもする。
名古屋の場合、当時は車を持っていたしフルタイムで働きそれなりに稼いでいたので、車で色々なところに出かけた。京都、三重、岐阜、金沢などなど。いずれも名古屋から車で1~3時間程度。東京からよりはるかに近い。
札幌の場合、車を手放しているし、会社を辞めて低コスト生活に移行しているのであまり移動にお金を使わない生活にはなっている。それでも小樽、北広島には行った。今までは飛行機を使ってはるばる北海道まで移動しないと行けなかった小樽に電車で1時間足らずで手軽に行けてしまう。
こんな感じで、住んでる場所だけではなく周辺環境まで含めて一変するので、それら含めて楽しむこともできる。
まとめ
自分の実体験を踏まえての「移住の魅力」は以上。
いずれも大きな魅力だと感じているけど、あえて最も大きな魅力だと思うものを挙げるなら、「新しい生活をスタートさせやすい」かもしれない。
まあ名古屋への移住の際は、1年と少しだけで諸事情(書くと長いし本題ではないので省略。名古屋生活が嫌になったのではなく、100%仕事の事情)により東京圏へと戻ってはいるのだけど。
でも1年と少し程度の名古屋生活が無ければ、僕は今札幌にはいない。それは断言できる。理由は以下2つだ。
- 名古屋生活により、一極集中しすぎた東京を脱出しつつも都市に住むことの魅力を実体験として知った。
- 名古屋で思い切ってキャリアチェンジして色々経験したことで、自分の視野を拡げたり、能力向上できた。それらが会社を辞めて札幌でゆるく生活している現在に繋がっている。
こんな背景があるから、移住の魅力として最大のものは、自分にとっては「新しい生活をスタートさせやすい」だと今は思える。
でも他に書いたこともいずれも大きな魅力であることは間違いない。だから、どこかしらへの移住を検討している人にとって何かしら参考になればいいなと思ってる。以上です。
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