世の中には仕事よりも大切なことが沢山ある

前職を辞める際、「会社を辞めてどうするの?」と上司に聞かれた僕は、以下のように答えた。

「会社の仕事に心身ともに振り回されながら忙しく生きるのに疲れたので、1年ぐらい無職でぶらぶらします。その後のことはそのとき考えますけど、なるべくのんびり生きたいです」

無難に「再就職します」と答えてやり取りを終えてもよかったのだけど、その人は僕にとって「うっとおしい上司」ではなく「長年お世話になり感謝している上司」だったので、可能な範囲で正直に答えたのだ。

おそらく「再就職します」という回答を想定していたであろう上司にとって、僕の回答は斜め上だっただろう。けっこう驚いていた。

上司は以下のようなことを言っていた。

「え、どういうこと?大丈夫なのそれ。お金は?」「仕事しないと頭使わなくなって、ボケちゃうよ」みたいな感じで驚きつつ心配もしてくれてた。

そんな上司に対して僕は「お金に関しては、まあてきとうにやってきます、なるようになります多分」みたいに心配を煽るようなことを言ったのだけど、別に煽る意図があるわけではなく、お世話になった上司への誠意として、正直に答えただけだ。

現代日本社会の都会に住んでいて、健康でさえあれば、その気になれば何かしらの求人に応募して単純労働でもしてれば時給1,000円は稼げるわけだから、あまり金の心配はしていなかった。

「より成長して、より稼ごう。そしてたくさん消費しよう」という資本主義社会に歩調を合わせることを僕は放棄したので、別にバイトでもなんでもよかった。

必要な分だけの消費をし、その消費を賄える分だけのお金があれば十分だ。

心身ともに会社に振り回されながら貯めたお金があるという背景も、「まあなんとかなるでしょ」という雑な思考に拍車を掛けていた。

 

あと、「仕事しないと頭使わなくなって、ボケちゃうよ」に対しては、全然そんなことはないと思えた。

世の中には仕事以外にも頭を使いたいことが山ほどある。むしろ、金のための仕事に頭を使うのがもったいないぐらいだ。

昨日観たアニメの考察をしたり、プレイ中のゲームの攻略を考えたり、散歩したいルートを考えたり。友達と遊ぶ内容を企画したり、ブログや動画を作ったり。

そういう、稼げるかどうかに関係なく、ただやりたいからやることに対して頭を使いたい。

今までは、有限な思考エネルギーの多くを会社の仕事に消費してしまっていて、その状態が嫌だった。

というのが僕の考えだけど、そんなことをいちいち反論して議論したくもなかったので、上司へは「そうですかねえ、大丈夫だと思いますよ。ボケませんよ多分」ぐらいにゆるく応じた。

 

そして会社を辞めて現在で1年10か月目。まっとうに「仕事」と呼べる行為は、昨年の秋から冬にかけて在宅でバイトをしただけだ。

でも、ボケてきてる感覚は全くない。むしろ、脳のリソースが会社の仕事なんていう他人事から解放されて、その分を自分の興味があることに向けられていて知識が増えた。

思考量も増えたため、色々な物事に対する自分の考えが持てるようにもなった。

ボケる方向よりは、むしろ賢くなる方向に進んでいると言える。

 

つくづく思う。「世の中には仕事よりも大切なことがあるのに、仕事ばかりを優先する世の中になってるよな」って。

仕事することって、そんなに大切なことだろうか。

もちろん生活をする上である程度のお金は必要なので、その分は何かしらで確保していく必要はある。そしてお金を確保する手段の代表例は、仕事して稼ぐことだ。

だから生活をしていく上で仕事をすることは、大半の人にとって大切ではある。それは間違いない。

でも結局は、仕事なんて、お金を稼ぐ手段に過ぎない。自分の夢や目標と仕事を直結させてるごく一部の人以外は。

つまり、仕事は生活の手段であり目的ではない。そして手段と目的のどちらが大切かというと、もちろん目的だ。

仕事は生きていくための手段。では生きている目的は何か?

それは人それぞれだろうけど、僕みたいな意識の低い人間にとっては以下だ。

  • 家族、友達などと楽しく一緒の時間を過ごす
  • 趣味で楽しむ

要約したらこの2つだけ。「世界平和に貢献する」「世の中の発展に貢献する」みたいな目的はない。自分的に納得できる生活をすることで毎日を機嫌良く生きて、その機嫌の良さが周囲の人へわずかでもプラスの影響になれば、僕ができる世の中への貢献としては十分だ。

また、趣味を分類していくと「ゲームに没頭したい」という消費者的趣味や「文章や動画を作りたい」という創作趣味や「気ままに散歩してのんびりしたい」みたいなものも含まれてたりはする。

僕にとっては、手段である仕事よりも、目的であるこれらのほうが大切だ。

 

こういう考え方をしているから、世間一般よりも「仕事」というものに対するスタンスがゆるい。

手段としての機能を果たせる範囲で好きにすればいいだけだと思ってる。嫌になったら辞めて他の仕事を探せばいいし、貯金がたまってきたらしばらく無職になってもいいし、もちろん仕事なんかしなくてもボケる心配なんて全然してない。

今の世の中って、多くの人が仕事という概念で思い悩んでいるような感覚があるけど、仕事なんて所詮は手段なんだから、雑にてきとーに捉えながら目的側を大事にしたほうがいいと思うし、僕はそうしている。

 

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