「世間体が気になり会社を辞められない。どうすればいい?」という人への回答

僕は2021年末に会社を辞めた。自分に向いていないと結論の出た会社員労働を続けることに嫌気が差したからだ。

今後の人生は自分のペースで自分がやれること、やりたいと思えることを細々とやりながら、世間の片隅で質素にのんびり生きていくことにした。

労働を0には出来ていないけど、可能な限り労働量を減らして時間の余裕を作り、その時間を使って自分が過ごしたいように過ごしている。

生活をダウンシフトしたとも言える。

 

ところで、僕はマシュマロで質問をお受けして、それに回答する営みをしている。

そこで頂く質問として、よく「自分も会社を辞めてのんびりしたいのだけど、世間体が気になり辞められない」というものがある。

細かな内容は千差万別だけど、要約するとこのような内容になる質問を、多分10件は頂いた。

現時点でいただいた全ての質問が200件ぐらいだと思うので、5%は「会社を辞めたいけど世間体が気になり辞められない」悩みということになる。

5%というと少なく感じるかもしれないけど、質問をお受けして回答している当人からしたら、とても多く感じる。この質問を読むと「また世間体の話か」と感じる。

いずれも、何かしらの夢があり、会社を辞めて独立して夢を追いたいというわけではなく、のんびりした生活を送りたいというタイプ。

冒頭に書いたように僕自身が会社を辞めてそういう生活に移行したので、そんな僕に届く質問としては当然だろう。

「脱サラして夢に向かって頑張るぞ」ではなく「会社を辞めてのんびりしたい」だから、世間体が気になりやすい背景ではあると思う。それはわかる。

世間一般からしたら「何を舐めたこと言ってるんだ。ちゃんと働け」で一刀両断されるだろうから。

だから世間体を気にする気持ちもわかるし、質問が多くなるのもわかる。

とはいえ、質問をいただく都度似たような回答をするのにも飽きてきているし、正直言うと面倒にもなってきている。

だからここに、現時点の僕が書ける回答は全て書いて、それによって同類の質問には回答済みというスタンスを取りたい。

質問をいただく度に、本質的には同じ意味の回答をその時々のテンションに左右されて違う言葉で書いたり、スルーしてしまったりするよりも(多分、半分はスルーしてしまってる。すみません。似た内容すぎると書く気力が湧かなかったりします)、そのほうがいいと思った。

「世間体が気になり会社を辞められない。どうすればいいのか」という悩みへの、今の僕の見解。

 

 

問題を具体化する

「世間体が気になる」という言葉は抽象的なので、まずはもっと具体化する。

思考は言葉で構成されるので、1つ1つの言葉を明確にしていくと考えやすくなる。

これまでいただいたご質問を踏まえると、「世間体が気になる」とは、概ね以下の意味だと整理できる。

 

「世間体が気になる」の具体的な意味

家族や友人、その他知り合いからどう思われるか不安。まだちゃんと働くべき年齢なのに働いてない堕落した人間、恥ずかしい、負け組、など。

会社を辞めると家計が成り立たないという経済的な問題ではない。あくまでも「ダメな人間だと思われる」という不安があるという問題。不安だし、そう思われることを想像したら辛い。

 

今までいただいた質問からは、概ね上記の意味だと思われる。

抱えているのはこういう問題であるという前提で、以降を書いていく。

 

世間体が気になる原因

上記のような意味を指しての「世間体が気になる」原因は何なのかというと、まあそんなのは人によって違うだろうし、質問文1通で原因を正確に分析するのは不可能だけど、印象のレベルで、だいたいの人に共通してそうだと思えることを書く。

 

世間体が気になる原因

  1. 持って生まれた気質
  2. 「労働は美徳」だと思ってる
  3. 「自分は会社を辞めるべき」という意思が弱い

質問を拝読している限り、これら3つが主な原因として存在しているように思える。

要約すると「気質」「考え方」「意思」にそれぞれ原因がある。

これら3つの原因それぞれへの対策を考えていく。

 

世間体を気にしなくなるための対策

1.「持って生まれた気質」への対策

これの対策は僕にはわからない。完。

「気質」とは、簡単に表現すると、性格のうち持って生まれた部分。遺伝で決まる部分のこと。

まず持って生まれた気質があり、そこから教育や経験、意図的な思考などから影響を受けて性格に昇華していく。

これから色々と書くけど、どうしたって持って生まれた気質は影響してくるとは思う。それはもう何事においても。

他人の意見や目なんか気にしない気質の人もいれば、それらに怯えてオドオドしてしまう気質の人もいる。

人はみな外見が違う。そして外見と同じように気質も違う。遺伝子が違うので当たり前なこと。

という身も蓋もない話はどうしてもある。

でも、世間体みたいなものを気にしやすい気質な人でも、考え方を変えるとか、自分の意思を強く確立するとか、そういうことで世間体を気にしにくくすることは出来るとは思う。

以降はそういう対策を書いていく。

 

2.「労働は美徳だと思ってる」への対策

具体化した問題を踏まえると、そこには無意識の前提として「労働は美徳」という価値観が存在しているように思える。

世間体が気になり会社を辞められないという人に、1つ質問をしたい。

「もしかして、自分自身も、会社を辞めて自分のペースでのんびり暮らすことに対して引け目を感じてるんじゃないですか?」と。

自分自身でも、「そんな生活は堕落しててダメだよな……」と思っちゃってるのではないか。

そうだとしたら、そりゃあ、周囲の人からの「ダメ人間」「負け組」「大人ならちゃんと働け」的な目線や意見が気になるのも当然の話だ。

人は自分の行為に引け目を感じるとき、他人からの目が気になるようにできている。

もし仮に「別に労働=美徳でも何でもないし、幸せの形は人それぞれ。そんな事にも考えが至らず、反射的に働くべきと意見を押し付けてくる人なんてどうでもいいよな」ぐらいに考えてたとしたら、人からの評価なんて気にならないのでは?

仮に「ちゃんと就職しなさい」と言われたとして、「はいはい、そのうちね」みたいな感じで右から左に聞き流せるはず。

 

「そうは言っても、労働は美徳というか、まあ、社会を回すためにすべきことではあるでしょ」と思っちゃう人は、資本主義社会から洗脳されてます。

この点については以下記事に詳しく書いているので、ご参照ください。

 

3.「自分は会社を辞めるべきという意思が弱い」への対策

そもそも、なぜ会社を辞めて生活を変えたいのか。

「会社勤めはストレスフルでもう辛い。辞めてのんびりしたい」という感じなのはわかるのだけど、その程度で留まっているのだとしたら、意思として弱い。

人は自分の意思が弱いとき、他人からの目が気になるようにできている。

だから、もっと考えを深めていき、「絶対に自分はもう会社なんて辞めるべきなのだ。誰がなんと言おうと辞めるべきなのだ」ぐらいまで意思を強めれば、世間体が気になって会社を辞められないなんて弱々しい事は思わないはず。

 

僕の場合は以下のようなことを考えていた。

「人生は一度きりで、いつ死ぬかもわからなくて、死んだら終わってしまう。残り時間はどんどん減っていくし、歳をとって老化もしていく。

そんな無常な人生において、他人の管理下に置かれて、他人の事業への労働力提供を週7日のうち5日間も朝から晩までやるなんて、もうこれ以上は絶対に続けられない。その働き方は自分には向いていないと身を以て証明済みだ。それを続けてる間に人生が終わってしまったら死んでも死にきれない。後悔が大きすぎて絶望しそうだ。

そもそも、こんなクソみたいな金儲け至上主義な社会に俺は同意した覚えは一度もない。別に俺は古代ギリシャ人が書いた本を図書館で借りて読んだり、外を散歩したり景色を眺めながら五感で今を感じていられればそれで十分なんだ。

いつの間にか金儲け至上主義なクソ社会に取り込まれていたけど、人間本来の幸福よりも金儲けを優先しているこんな社会の常識に従って週5日間も労働してやるのはもう御免だ。俺は人間本来の自然な生き方へ回帰して、幸福を追求するのだ」

 

世間体が気になるのなら、このぐらいまで考えればいい。

このぐらいまで考えた頃には、もはや世間体という概念自体どうでもよくなっている。

世間体なんていう曖昧なものではなく、自分の考えに立脚して生きられるようになる。

 

おわり

「世間体が気になり会社を辞められない。どうしたらいい?」という質問へ、今の僕が回答できることは全て書いた。

 

正直に言うと、世間体云々を言ってる人には個人的に苦手意識がある。

自分の考えが弱くて、キョロキョロと周囲を窺う人が僕は苦手なのだ。

学校でも会社でも大量にそういう人たちを見てきた。そういう人たちがマジョリティの立場で構成する組織に僕は馴染めない。

1人1人はたいして考えてなくてキョロキョロしてるくせに、集団になるとやたら強気に自分たちの集団内で常識とされている価値観を押し付けてくるからだ。

世間体が気になり会社を辞められないという人がそういうタイプかは分からないけど、それと似た何かを感じてしまう。

だから、「なら会社辞めなければいいじゃないですか」とか「知らんがな。好きにしてください」の塩対応で返したくなったりもする。

人それぞれ向き不向きがあるのだから、会社がしんどくて辞めたい気持ちがありつつも、世間体が気になるなあと思う程度なら、別にわざわざ会社を辞める必要なんかないと思っている。

会社勤めそのものが悪いわけでもないのだから。今の資本主義社会の中で最もメジャーな働き方の選択肢として存在しているだけで、その選択肢を選ぶも選ばないも自由だ。

 

とはいえ、それはそれとして、自分の発信を見て興味を持ってくれて、僕に質問しようと思い、文章を書いて実際に質問を送っていただいた人に対しては、感謝の気持ちがあり、だからもう一歩踏みこんで回答したいと思い、回答した次第です。

以上です。

 

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